20260805

何も覚えていない。睡眠はとれていないので何かをやっていたのだとは思うが、何も覚えていない。 朝に相米慎二の『ションベン・ライダー』を観たことだけは覚えている。

元気いっぱいの小学生みたいな映画で、長回しを多用した画面は俳優の顔が不明瞭だし、アフレコも雑で学生映画のようだった。それでも素晴らしいと感じたのはやはり数分間の長回しの連続による濃密な時間の応酬によるものだろう。有名な丸太のワンショットに限らず、全てのショットが生々しく、鮮烈だった。失敗かもしれないが大いなる失敗であり、これを評価しないとはすなわち盲目であるとも言える。

オープニング、さっさと割ればいいものを、小太り少年の拉致をほぼワンショットで描き切る。ヤクザ→プール→グラウンド→校門→道路と、目まぐるしく変わる舞台。圧巻。こんなものを『うる星やつら オンリー・ユー』の抱き合わせで観せられた当時の観客は本当に頭がおかしくなったのではないかと推察。賛否はあるだろう。物語が破綻しているとか言っている人もちらほらだが、私はあまり気にならなかった。

ホテルの窓に花火。カメラがパンしても花火は画面の中心に居座る。雑な合成。

ブルース、ジョジョ、辞書の3人は中盤で服を交換するのだがそこだけ意味が分からなかった。ブルースは少女なのに胸元が大きく空いたテロテロのシャツを着せられてかわいそう。女性になっていく身体に対する彼女なりの抵抗かもしれない。辞書というあだ名がソリッドでいいし、若き日の坂上忍として観ると趣深さがある。

ヤクザとズブズブな警官の存在感。パトカーで3人が連行される→公衆トイレ→船で逃走のシーンも良かった。水の映画。身近に水がなければ思い付かないし、役者は何度もずぶ濡れになって大変だ。

黒澤映画における三船敏郎みたいなオーラを放つ藤竜也もかっこいい。覚醒剤で終始ラリっているし、終盤では何故かピエロの格好で登場する。

相米慎二の演出は昨今のコンプラ云々で肝心なところに目をつぶらなければならず、「あの頃はこういうことも許されたんだけど、今はね……」と言った調子で語られることが多い。子供相手だから思いっきり蹂躙してやろうとも思えるだろうし、同じテイクを何百回も繰り返す手法は演者の疲労を誘うだけである。しかしそれがあったからこの映画は作られたのだと思うと、やはり我々はありがたがってそれを観る他ないのではないか。暴力的な過去に対する無力さが、彼をより忘れさせない。

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